【ハードウェアバージョン】
本製品のハードウェアバージョンは第四期型となります。
『ML−5J(Jupiter Old Soul)』の開発の過程で得た成果をフィードバックしました。
型番に変更はありません。
現在、在庫パーツにて一時再製作中です。
初期型、第二期型、第三期型からのハードウェアバージョンアップはオーナー’s ラウンジよりご覧ください。
【概要】
本機Moonlight Classic(ML-2C)には、先代Moonlight(ML-1)の設計思想をさらに推し進め、大幅に改良強化されたフルディスクリート回路が搭載されています。ディスクリート構成とは、IC等の集積チップを一切使用せず、トランジスターなどの個別素子のみを使用する形式をさします。ディスクリート回路は開発・製作に大変手間がかかり、コストダウンや小型化が難しいものです。しかしその反面、高性能を実現しやすく、製作者にとって多くのチューニングができる余地があります。
また、本機は高性能回路を小型基板に高密度実装することのメリットが最大となるように設計されています。一般的な性質として、電子回路は同じ回路であれば、実装面積を小さくした方が性能が良くなります。
信号電流の流路を最短化すること、また、その流路が描く軌跡面積を最小化すること。そのための理想的なパーツレイアウトを追求することで、不快感を伴うことの無い美しい超高域、圧迫感がなく明確な音程感のある重低音の再生能力といった、本機搭載回路の持つ潜在能力をフルに引き出しています。
このヘッドホンアンプは、あえてディスクリートにこだわり、いつもそばで、いつまでも使ってほしい。そういう想いをこめて丁寧に、丁寧にチューニングを施しました。
【構成】
本機のアンプブロックはアナログA級ドライブアンプです。小信号用トランジスターには、すべてに高性能ローノイズトランジスターを採用しています。トランジスターと並んで音質への影響が大きい抵抗には、特に効果的な箇所にNS-2Bを合計8本採用しました。NS-2Bは高音質なことで世界的に有名なDALE社の無誘導巻線抵抗です。
電源ブロックは多段構造となっています。電流源としてスイッチング電源アダプターを使用し、本体内でノイズフィルターと分流回路を経て、過渡特性に優れるnon-NFBディスクリート・レギュレーターによって左右別に電源を供給するという構成をとっています。やや冗長な構成ですが、この方法ですとスイッチングノイズを抑えつつ、電流の供給能力が高いというスイッチング電源の長所を良く活かすことができ、変圧トランスを使用した電源システムと比較して良好な音質とすることができます。もちろん、安価で小型・軽量というメリットもあります。
採用した電源アダプターは100-240V対応ですので、電源の形状変換プラグがあれば、世界各国で使用できます。船旅や長期の海外旅行のお供に是非。
【音質】
このヘッドホンアンプの特徴は音の実在感を描き出す“繊細さ”と、豊かな音場による包み込むような“力強さ”にあります。
“繊細”と聞くと線が細いような、なんだか弱々しいような印象がありますが、実際にそうなりやすいのです。
ローノイズトランジスターをいかすことにより、静粛・高解像度であることはもちろんですが、“繊細かつパワフル”という言葉では意味のわからないような目標を達成するために文字通り心血を注ぎました。
音楽の息吹や音のたたずまいが伝わってくるような、そんな“繊細さ”を持ちながらも線が細くならないように、音に力強い存在感を得るにはそれなりの困難がありましたが、最終的には比較的シンプルな回路でこれを達成することができました。
やっと完成。が、ホンネ。
胸に染み透るような音の実在感を描き出す有機的繊細さと、極めてクリアーな表現力、そしてゆるぎないボトムを持った広く大きな音場による包み込むような力強さによって、本機の持つ音は、音の風合いを感じさせるような、非常に味わい深いものとなりました。
【外装】
外装は大切です。なにしろ、使っていて嬉しくなくっちゃいけません。
このヘッドホンアンプには、ML-1と同様、その音質にふさわしい装いを与えました。
アルミ製シールドケースの外装には天地両面に本革張りを施し、フェイスパネルはチーク無垢材を風合い豊かなオイルフィニッシュで仕上げたものを使用しました。チークは船旅に似合うんです。
時を経るほどに手になじみ風合いが増す。そういった趣きも楽しいものですよね。
基本的にはチョコレートブラウンとダークオリーブのツートンカラーが標準ですが、材料の入手状況によって、気まぐれ特殊カラーモデルをつくったりもします。過去には鹿革モデルや蛇革モデルなどがありました。在庫状況など詳しくはカラーリングのご案内で確認してください。
※本機は外装に天然素材を使用しているために、品質には万全を期しておりますが、若干の色ムラ、色くすみ等がある場合があります。
【ちょっとした注意点】
最近、iPodなどの携帯用DAPの普及に伴って、高性能の専用イヤホンがたくさん発売されています。これらの負荷インピーダンスはほとんどが16Ωであり、低電圧・大電流駆動用としてつくられています。DAPの内蔵電池の制約から出力電圧を高く取れないことに理由があるのですが、これらのイヤホンを本機に使用することはオススメしません。ナゼかというと、これらのイヤホンはわずかな出力電圧で爆音になってしまい、本機に充分な電圧スイングをさせることができないからです。これでは、まったくの宝の持ち腐れになってしまいますので、やはりここは、大きなヘッドホンを使ってください。ちなみに、本機のチューニングには主に、ゼンハイザーのHD650、AKGのK702、エティモティックリサーチのER4Sを使用しました。
ヘッドホンの選択肢は他に様々ありますが、HD650とK701(K702)はすばらしいヘッドホンですね。
【蛇足】
ヘッドホンが先か、アンプが先か。たまにこんな相談を受けますが、これってとても難しいですよね。(DACが先っていうハナシもありますが。)両方買えれば悩まないんですけど、どうしたって予算の制約があるので優先順序で悩むことになります。結論は個々人が出すこととして、別のハナシを。
(大変個人的な意見ですが)ヘッドホンとアンプでは音質の改善分野が異なると思います。クルマでいうとエンジン(パワーを発生させる)とタイヤ(パワーを地面に伝達する)の関係でしょうか?いや、ちょっと違いますね。あんまり上手い例えではありませんが、むしろ、ヘッドホンをクルマだとすると、アンプは乗り手、ドライバーに近い感覚です。再生する音楽は差し詰めロード・コース、我々はその乗客といったところでしょうか。
クルマ(ヘッドホン)による違いは非常にわかりやすいですね。高級車の方がかっこいいし、パワーだってあります。ちびっこい安グルマとは劇的な違いがあります。あぁ、いいクルマだなぁ…、って悦に浸れます。
乗り手(アンプ)による違いはもう少し微妙です。よほど酷いドライバーは別ですが。その違いは運転マナーや運転技術による乗り心地の差として現れます。これは、車の絶対性能のような差ではありません、が、乗客のフィーリングに対しての影響は実は大きいのです。そして、この運転の性格とでも言うべき、とらえどころの無いものは、他の車に乗り換えても維持されます。これがアンプによる音質の差です(と思う)。
というわけで、何の結論にもなっていない限りなくムダなハナシでした。
誰が運転するクルマに乗るかによって、景色も違って見える、ドライブ体験も違ってくる、そんなハナシ。
【諸元】
・入力端子:RCAピン・ジャック
・出力端子:TRSフォーン・ジャック(φ6.3o標準ステレオ・フォーン・ジャック)
・幅:約105o 高さ:約44o 奥行き:約160o
・本体重量:約560g
・付属品:24V出力ACアダプター、入力100V〜240V
専用桐箱にて丁寧にお届けいたします。
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あるメンテナンスでのこと
ML-2C
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