Moonlight Classic(ムーンライト クラシック) 形式:ML-2C

あるメンテナンスでのこと

 

ある日、一台のMoonlight Classic ML-2Cがメンテナンスに持ち込まれました。

オーナ様によると、どうも調子がイマイチな気がするとのこと。
さっそく送っていただき、診てみることにしました。

音を聴いてみると確かにおかしいです。
こもったような、元気が無いような、精彩を欠く音…
こんなのはウチの音じゃない。
さてどうしたのだろう?

ML-2Cの搭載部品の大部分は国産の高性能・高信頼性品です。
これまでの経験から部品の寿命や劣化であることは、まず考えられません。

しかし、どこかに原因があるはずと色々とパーツの交換をしてみます。
それでも出てくる音には全く変化がありません。
それではと、内部を基板ごと交換しても全く変化がありません。

しばし考えた後、はたと思い当たることがあり、接続端子をクリーニングしてみることにしました。
前面のフォーンジャックをクリーニングし、背面のピンジャックをクリーニングしました。
細めの綿棒にベンジンを適量染み込ませ、RCAピンジャックのセンターホール内部に挿し込み、
くるっとまわしてから引き抜くとなにやら暗灰色の物体が付着していました。
…やはり。

もう一度音を聴いてみると、今までの不調がウソのように気持ちよく鳴りはじめました。

この件をご報告すると、オーナー様は過去に接点改質剤を使用したことがあることがわかりました。
接点改質剤とは、その名のとおり端子の接点部分の電気的性質の回復や向上を目的としたもので、
プラグやジャックに直接塗布して使用されることが多いものです。
(近い用途のものとして電気接点復活剤や接点クリーナーがあります。)
風雨にさらされる環境でのアンテナ配線の接点保護や、
オーディオの音質改善を目的としたものなど様々なものが市販されています。
オーナー様によると一時期そういったものを複数試したことがあり、現在は全て廃棄しているとのこと。
しかし、一部のケーブルに残留付着していた可能性は充分にあり、
ML-2Cとケーブルとの相性を確かめる為に古いケーブルも出してきて、
とっかえひっかえ試聴しているときに付着したに違いないという結論になりました。

接点改質剤については良いものも悪いものもあるようです。

というわけで、接点のクリーニングは時々は行ないましょう、というハナシでした。


端子クリーニングには赤ちゃん用綿棒(細め)が適しています。
クリーナーには無水エタノール、ベンジン、イソプロピルアルコールなどがいいでしょう。
除光液などは強力すぎます。止めておきましょう。
入手性や扱いやすさなどからベンジンがオススメです。薬局で入手できます。
注意点としては、これらの有機溶剤はML-2Cの皮革の染料を犯しますので少量でもつくと変色やシミになることです。
綿棒から垂れるほどなのは、つけすぎですのでご注意ください。

 

 

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